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第13回 高校生国際美術展 開幕式の様子
6月28日、東京・国立新美術館にて、13回目を迎えた「高校生国際美術展」が開幕しました。会場には、全国から寄せられた、書道部門8191、美術部門1995点の中から、入賞した379点のほか、アイルランド、イギリス、イスラエルなど欧州とアジアを中心とした世界12カ国から寄せられた60余点の力作が展示されています。半田晴久実行委員長は挨拶で、高校生だけを対象にした無料の国際的な美術展は貴重な存在で、また立体作品を受け入れるのも特色だと述べました。
半田実行委員長と青森戸山高校のみなさん
オープニング・セレモニーには、受賞者を代表して文部科学大臣賞の吉田謙也(よしだ・けんや)君と、高校生国際美術展会長賞の舘山野々香さんが出席しました(共に立体作品)。二人は今年度で閉校が決まっている、青森戸山高校・美術科の同級生。同校では「最後の年に、みんなで一花咲かせよう」と美術科を挙げて製作に取り組み、結果として二人のほか、3名が奨励賞受賞という快挙を成し遂げました。
文部科学大臣賞の「鯨星」は、水面から勢いよく上半身を起こしたような鯨の姿に、無数のフジツボが張り付いている作品。「うれしくて何と言っていいかわからない。鯨がみんなの心に残るような作品になってくれれば。何よりもここに来られてうれしい」と喜びを語る吉田君は、卒業後は美大に進学し、ガラス工芸を手がけてみたいとのこと。
一方、舘山野々香さんの「愛す」は、若い女性の上半身が、アイスクリームのワッフルコーンに包まれている構図。製作には2、3ヶ月を要したそうです。「アイスクリームが好きなので(笑)、アイスを食べてるときの幸せな感じを出したかった」(舘山さん)。これまでは看護師志望だったが、今回の受賞を受け「美術系もいいかな、って…。悩んでます」と揺れている胸の内を明かしていました。
左から北原照久審査委員、荒川明照審査委員長、
鳩山邦夫代議士、安倍晋三代議士、半田晴久実行委員長、
亀井静香代議士、下村博文代議士、遠藤友麗審査委員
連日大盛況の展示室
書道部門では、福岡県立太宰府高校の前之園葵(まえのその・あおい)さんが文部科学大臣賞を受賞。前回、惜しくも最高賞を逃した前之園さんは「受賞の知らせを聞いたときは驚きのあまり変な汗が止まらなかった。祝福の言葉を聞いてやっと実感できた」とコメントを寄せてくれました。受賞作「光明皇后臨楽毅論」は、王義之の「楽毅論」を光明皇后が臨書(りんしょ。手本を見ながら字を書くこと)したものを手本にしました。前之園さんは「力強い線で緩急自在ながら優しさも感じられるところ」などに魅せられ、2年に渡って臨書を繰り返してきたそうです。
開幕式には、亀井静香・安倍晋三・鳩山邦夫・下村博文各代議士も出席し、テープカットをおこないました。
また今年から審査員に加わったブリキのおもちゃ博物館館長・北原照久氏が挨拶。現代アートの著名なコレクターでもある氏は「アートは文化であり平和。若い才能を積極的に評価していかなければ」と熱い思いを語りました。お気に入りの作品を尋ねると「どれもレベルが高く絞るのは難しい」と語りながら、会場を見渡しました。そして目の前にあった井上敦司君(福岡県立博多青松高校)の「この大空に」(東京都知事賞)を指差して「たとえばこの作品も素晴らしい。少年が空を見上げてる構図が、自分がこれくらいの年齢だった時代にオーバーラップしてきて。いいなあ」と目を細めてました。
展覧会は7月8日まで入場無料で開催しています。7月4日(水)現在で既に4,573人の方が来場されています。来館者の多くの方が、美術では高校生のイマジネーションやアイディアに感心され、書道では大人顔負けの技術に驚かれていました。最終日の7月8日には国立新美術館の向いにある政策研究大学院大学の想海樓ホールにて表彰式が行われます。
皆様もこの機会に、足を運ばれてはいかがでしょうか。